インタビューを終えると、原稿にするための素材が数多く集まります。それらの素材は、どのように文章化していくのでしょうか? 最優先とするべきポイントは「読者が面白いと思うか」「読者が知りたいと思うか」です。この観点で、無数の素材の中から読者に伝えたい情報をピックアップしていきます。
テープ起こしの原稿を読み、方向性を定める
まずは、テキスト化したインタビュー内容をひたすら読み込みます。読者、そして取材目的を意識し、原稿の方向性を掴むのです。質問や流れを決めてから取材に臨んでも、準備通りにはいきません。想像以上に良い話が聞けることもありますし、関連する内容が飛び飛びに語られる場合もあります。それを整理します。つながりがある箇所は、マーカーや付箋などで色分けしながら読みましょう。あとから見直した時、関わりがわかるようにしておきます。
構成を決める
インタビュー記事は、取材対象者が話した順番通りに書く決まりはありません。伝えたいことが読者に伝わるように編集しましょう。(1)を終えると、関連付けした意味のかたまりが複数できています。それらを吟味し、書く順番を決めます。大まかな目次のようなものを作るのです。ここでも忘れてはいけないのが、読者、そして取材目的をイメージすること。よりよく伝えるための流れを決めます。
素材を選択し振り分ける
そして決めた構成を元に、素材をピックアップ。ポイント毎に振り分けていきます。「あれも使いたい、これも使いたい」。いい話が聞けた場合、情報の取捨選択は悩ましいものです。しかし、取材目的から外れていたり、読者が面白みを感じないであろう話題は削ったほうが懸命です。本当に伝えたい内容がぼやけて、散漫になってしまう危険性があるからです。
ここまで行うと、並べた素材をザッと見ただけでも論旨が明確になっているはずです。あとはブラッシュアップして、文章として仕上げていきます。もしかすると「書く」作業に入るのは、ここからと言えるのかもしれません。入念な準備がインタビュー記事の仕上がりを決めます。大切なのは、読者と取材目的を第一に考えること。誰のための文章か、何を伝えるためのインタビューか。迷いが出た時は、思い出してみてください。
記事執筆:ライター 村川里美