結局、何が言いたいのかわからない。
もっとインパクトがある内容だったはずなのに、文章にすると迫力が消えている。
読み手にこのように感じさせる文章は、修飾語を多用しすぎている傾向があります。伝えたい気持ちが先走ると、ついつい文章に多くの情報を盛り込みがちです。しかし修飾語の使いすぎは、文章の本質を覆い隠す危険性を秘めています。「この修飾語、本当に必要?」心の中で問いかけながら、あなたの書く文章の一文一文を見直してみてください。
以下の例文を読み、あなたはどのように感じるでしょうか?
<例>
過剰に修飾語を用いた例です。彼が以前と比べ大きく変わったことを伝えるためでしょうが、説明のしすぎで文章が長くなっています。情報量が多すぎ、最も伝えたい点がわかりにくくなっています。
これまでどの仕事も長続きしなかった彼は、今は徹夜も厭(いと)わないくらいのやる気をもって長年の夢であったエディトリアルデザインの仕事に取り組んでいる。
・これまでどの仕事も長続きしなかった→彼
実にこれだけの語を修飾しています。この文章で、本当に伝えたいことは何でしょうか? これまで仕事が長続きしなかったことでしょうか? 徹夜も厭わないことでしょうか? 長年の夢でしょうか? 本質を抜き出すとこうなります。
・徹夜も厭わないくらいの→やる気
・やる気をもって→取り組んでいる
・長年の夢であった→デザインの仕事
・エディトリアル→デザイン
彼は、やる気をもってデザインの仕事に取り組んでいる。
非常にシンプルですが、修飾語を省いたほうが内容がダイレクトに伝わります。大切なのは、本質を伝えることです。文脈を妨げる余計な修飾語は、思い切って削除してしまいましょう。読み手を惑わす過剰な説明を省くことは、文章の論理性も高めます。
中には、修飾語を減らすことで、文章が丸裸にされてしまうような不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、そんなあなたこそ、ぜひ勇気をもって過剰な修飾語をザクザクとカットしてみてください。本質を追求するあなたの文章には覚悟が滲み、読み手の反応は確実に変わっていくでしょう。
記事執筆:ライター 村川里美