臨場感あふれるストーリー文章を書くにあたり、私は主に以下の5点を意識しています。
起承転結の流れに沿う
どんな映画もドラマも演劇も、多少の複雑かはあれど、物語の大枠の展開はほぼ同じです。
起・なにか事が「起」こる
承・それを「承(う)」けて、話が進む
転・その話が「転」開する
結・その話が「結」末を迎える
これを小説に当てはめると
起・物語の導入部分(キャラクターと世界観を説明する部分)承・問題・事件が発生する→問題解決の方法を模索する(主人公が問題に挑む理由を説明する)
転・問題解決の方法が解る→問題を解決する
結・結末
という流れになります。
読み手がストレスなくストーリーを追える型は決まっていますので、この型に当てはめた流れで文章を書いていくと、物語の展開はスムーズです。
映画のカメラを意識してシーンを移動
情景を描写するときには、映画のカメラのレンズになった気分で、「最初はこのシーンを映し出そう」「次はこのシーンを映し出そう」と頭の中でイメージします。頭の中だけでまとまりづらければ、簡単な絵コンテを書いても良いでしょう。特に最初の一文は、読み手を「どういうこと?」と惹き込む工夫が必要です。
「真冬の日本海を前に、圭子は一人で泣き叫んでいた」「浩司は久しぶりに起き上がって冷蔵庫を開けた。案の定、そこにあったのは期限切れの牛乳だけだった」など・・・・「え? 大丈夫? この後どうなるんだろう?」と、見る人の感情を動かす表現を心がけてみてください。
五感の表現を取り入れる
味覚・触覚・嗅覚・視覚・聴覚の表現を取り入れることで、一気にストーリーの臨場感が増し、みずみずしい文章になります。「彼女の首筋からは、爽やかな石鹸の香りがした」「外は香ばしくカリカリ、中は熱くてジューシーでとろける肉汁がじゅわ~っと・・・」のようなみずみずしい表現力を身につけたい方は、恋愛小説が参考になると思います。
登場人物の行動と心理描写をセットにする
登場人物が何か行動を起こすときには、行動だけを描写すると、「浩司は立ち上がった」「そして冷蔵庫を開けた」「牛乳パックの賞味期限を確かめた」・・・と、無機質で淡々とした文章になってしまいます。
これを、「浩司は、面倒くさいけど、力をつけるためには何か食べなければと思い、よろよろと立ち上がった。」「そして、何か栄養のめぼしいあるものはないかと1週間ぶりに冷蔵庫を開けてみた」「案の定、そこにあったのは賞味期限が切れてドロドロに固まって酸っぱい臭いのする牛乳だけだった。浩司は思わず、顔をしかめた」このように行動と心理描写をセットにすると、ストーリー文章の臨場感が出てきますので、ぜひ心がけてみてください。
行間を読ませる
これは上級テクニックですが、読み手に創造力を働かせ、解釈の自由を与えるために、必要以上に説明しすぎないことも大事です。情景を伝えて「つまり、こういうことだ」と読み手に解釈の余地を与えたり、情景で心境を伝えたりします。
以上、ストーリー文章を書く際にぜひ意識してみてください。