前回の「論理的な文章を書くには」の記事で「論理的な商業文章を書くためには複数の要素をグループに分ける」と書きました。
整理された情報は論理的で、読者はストレスなく読み進めることができます。前回はイタリアンレストランの情報を料理、接客、雰囲気の3つのポイントで仕分けしました。
このグループ化には、ほかにもいくつかの方法が考えられます。
立場で分ける
例えば、二世帯住宅の広告を作る場合です。
・リビングを一望できるカウンターキッチン
・趣味に没頭できる書斎を用意
・天窓のある子供部屋
・キッチンには貯蔵量豊富なストッカー
・1階は落ち着いた畳の和室
・4畳のウォークインクローゼット
・子供部屋はロフト付き
どれも心惹かれるポイントではありますが、論理的ではなく散漫な印象です。これを、住む人の立場によってグループ化するのです。
家の中の全てがバリアフリー仕様
1階は落ち着いた畳の和室
リビングを一望できるカウンターキッチン
趣味に没頭できる書斎を用意
キッチンには貯蔵量豊富なストッカー
4畳のウォークインクローゼット
天窓のある子供部屋
子供部屋はロフト付き
要素のグループ化により、読者は自分にとって有効な情報を素早く引き出すことができます。また、3つの観点から、住宅を総合的に判断しやすくなります。
見出しを付けると、より魅力が伝わります。
<父母>→ 【パパママ世代・欲しいもの全部叶えます】
<子供>→ 【キッズ世代・我が家がいちばんの楽しい遊び場】
時間軸で分ける
旅館の宣伝の場合はどうでしょうか?
・名物の菜の花てんぷらをどうぞ
・水揚げしたてのあんこう鍋
・炊き立ての松茸ごはんをサービス
・雪を眺めながらの露天風呂
・露天風呂で赤い夕陽を全身に浴びる
・お部屋の窓からは紅葉が楽しめる
・春限定野菜スイーツ
羅列しただけでは、季節が行ったり来たりしています。夏の海が思い浮かんだ後に春になり、冬に変わったと思ったら秋に戻る。これでは読者は混乱してしまいます。
四季折々の魅力を伝えるために、春夏秋冬で分けてみましょう。
名物の菜の花てんぷらをどうぞ
春限定野菜スイーツ
お子様に好評、海水浴場までは徒歩30秒
露天風呂で赤い夕陽を全身に浴びる
炊き立ての松茸ごはんをサービス
お部屋の窓からは紅葉が楽しめる
水揚げしたてのあんこう鍋
雪を眺めながらの露天風呂
四季で分けることですっきりしますし、旅館で楽しむ自分の絵が思い浮かびやすくなります。
今回は広告や宣伝でしたが、企画書や報告書でもこの仕分け方法は有効です。
業界の現状報告の際には、要素を顧客、自社、競合他社で分けることができます。また、クレーム報告の場合、通常時、クレーム時の状況、改善後などと仕分けできます。
論理的な構成を実践することで、あなたの文章の説得力は格段に増すでしょう。
プロライター養成塾では、論理的な文章の書き方のコツを学ぶことができます。
記事執筆:ライター 村川里美