ライターの仕事をする上で、真面目な人が陥りがちな罠が「ちゃんとしないと」です。
「ちゃんとしないと」は、もちろん大事です。
- 誤字脱字をしない
- 取材に遅刻しない
- てにをはを間違わない
- 表記統一をする
そういった丁寧な仕事ができるか否かで「初心者ライター」と「プロライター」の境目が決まります。
しかし、初心者から脱却した真面目なライターさんが直面することの多い次の壁が、「文章が面白くない」ということ。
ここでいう「面白さ」とは、ウイットに富んであったり、読者をクスッと笑わせたり、絶妙なたとえ話を使ったり、といった味わい深さの意味も含んでいます。
自分が伝えたいことを確実に伝えるために、遊びのある表現の工夫ができること。その心の余裕が、文章の面白さにつながります。
面白さが全てではありませんが、読者の感情を揺さぶり行動へと促す商業文章を書く上では、読者の心を掴んで離さない、テンポよく読ませるテクニックが必要となります。
スラスラと読ませて心を掴む文章を考えるのは、どちらかというと右脳の仕事です。
右脳でひらめき、流れを作って、左脳で論理を調整していく。
この作業がバランスよく行えることで文章が書きやすくなります。
しかし「ちゃんとしないと」にとらわれている真面目なライターさんは、概して左脳が優位になっています。
- 「インタビューのテープ起こしした内容はすべて入れないと」
- 「文字数をきっちり合わせないと」
- 「お客さんにこれも、これも入れて欲しいと言われたからちゃんと全部入れないと」
すべてのルールをきちんと守って、それでもなお、読者の心を揺さぶって読ませる文章を書けるなら、スキルの高いライターです。
しかし、たくさんあるルールにがんじがらめになり、結果、書き進められない場合。
時にはルールを疑ってみることも必要です。
「お客さんはこう言っているけど、果たして読者さんはこれで心が動かされるのだろうか?」
行き詰まった時は前提を疑う。
これはすべてのクリエイティブな仕事において、必要な作業です。
文章とは、決断の連続です。
自分の決断が、お客様に全否定されるかもしれない。
もしかしたら大激怒されるかもしれない。
それでも伝えたい。
その葛藤が、文章の感覚をより繊細に研ぎ澄ませてくれるもの。
最初は荒削りでも、失敗を恐れずに書いてみること。
否定されてもくじけず乗り越えることで、プロライターとしての才能は切り拓かれていくはずです。
真面目な人ほど、普段のインプットを通じて、売れている書籍やブログ、メルマガなどの文章から学ぶこと。
いろいろなことに興味を持ち、感じる時間を増やすこと。
右脳で感じたことを、左脳で言語化する習慣を持つことを、心がけてください。