講師インタビューVol.1 神崎桃子先生
プロのライターにとって大切なのは、読者への愛。いかに読者を喜ばせるかを、真剣に考えよう。
体験型恋愛コラムニスト
神崎桃子さん
体験型恋愛コラムニスト。執筆の傍ら文章セミナー、
男女のズレや生態にツッコミを入れ、恋愛市場の時事問題は得意。また“草食男子仕置き人”
恋愛や婚活に必要なのは、生ぬるい女子力ではなく「
*******
今や各メディアに引っ張りだこの売れっ子ライター 神崎桃子さん。彼女がいかにして恋愛コラムニストの地位を確立したのか。その軌跡をたどりました。(インタビュアー 大澤美恵)
大人になるまでの生い立ちを教えてください。
親の借金や家庭の事情で、親戚の家をたらい回しにされるような生活を送っていました。当然ながら親の愛情にも飢えていたし、ほしいもの、やりたりたいことがあっても叶うような状況ではなかったので、早く経済的に自立したかったですね。
アルバイトをしながら高校に通い、卒業後は寮のある会社でバスガイドとして接客の職務に就きました。仕事を通じてお客さまから「いい思い出がつくれた。ありがとう」「楽しかったよ」と感謝されたり、自分のしたことが誰かの喜びにつながることがたまらなく嬉しかったですね。
バスガイドの他、整体師や自動車教習所の教習指導員のお仕事をされていたと聞きましたが、ライターのお仕事に興味を持ったきっかけは?
ライターのお仕事そのものに興味があったわけではなく、最初は「とにかく書きたい!」という熱い思いからでした。自分の書くもの、文章を通じて誰かを喜ばせたり、楽しませることがしたかったんです。
バスガイドも、整体師も、教習所の教員も、ライターも、根っこは「人を喜ばせたい」という想い。職種や畑が違っても、人に対する想いは変わらないですね。
では、数あるジャンルのなかで、恋愛コラムニストになろうと思った理由について教えてください。
簡単に言うと、自分が痛い目にあったから。自分のようにつらい恋や苦い経験をした人に向けて、「あなただけじゃないよ」「大丈夫だよ」と元気づけたい、勇気づけたいという気持ちから書き始めました。
他にも恋愛について書いている方はたくさんいらっしゃったとかと思いますが、私の場合はとにかく「書きたい!」という熱意の方が先で、最初からライターやコラムニストになろうと思ったわけではありませんでした。一心不乱に原稿を書いていて、後から肩書きがないことに気づいて、あわてて考えたくらい(笑)。
恋愛指南書や恋愛コラムは「こうやったら男にモテますよ」「こうすればステキな恋愛ができますよ」っていうことを教授することが多い。
でも文章って筆力さえあれば自分が経験したことでなくとも想像力さえ働かせれば、いくらでもカッコいいことを書けますよね。
私は、自分の体験から得たものに基づいて、「いかにモテるか」「いい恋愛ができるか」よりも、「失敗や痛い経験からいかに這い上がっていくか」、そこにフォーカスを当てたかった。
そこで生まれたのが『恋愛サファリパーク~必要なのは女子力よりサバイバル力』なんです。
(参照元:「神崎桃子オフィシャルサイト」)
実際には、どうやってお仕事の受注に結び付けていったのでしょうか?
きっかけはブログでしたね。
整体やアロマのお仕事をしながら、毎日こつこつブログを書いていました。書いてるうちに「更新を楽しみにしてます!」というコメントがついたり、「おもしろい!」というメッセージがどんどん来るようになって、書くことが楽しくて楽しくて仕方なくなってきましたね。読者さんの言葉こそ私への励みと糧になりました。
そうしているうちに、おもしろいネタを探している業界人やメディアの方から「ウチで書いてみませんか?」というお声がかかったり執筆依頼が来るようになりました。
ブログって一般の方だけがアクセスしているわけじゃないんですよ。メディアの方はブログやサイトでネタ探ししてるんです。
面白みや説得力のある記事を書けば、検索の上位に上がってきてくれる。たとえそれが無料のツールであっても受注にはつながることも、原稿依頼がくることもあるんですよ。
書いて書いて書きまくってどんどん露出していく。「継続は力なり」……”諦めずに書き続ける”ことこそがライターにとっての必要事項でしょうね。
桃子さんのように、これからコラムを書いてみたいと思う人に向けてメッセージやアドバイスをお願いします。
文章を書いてなにかを発信するということは、ターゲットに対する愛が必要かなと思います。題材の先にあるものって、やっぱり人じゃないですか。媒体によってターゲットは違えども読者さんの悩みや思いを汲んで、気持ちに沿えるようなものを提供してあげることが大事ですね。
ライターやコラムニストの使命は、文章を通じて読み手に気付きや発見を与えること。
「あるある」の共感や「へ~なるほど~」の納得でもいいし、逆に違う意見がそこで生まれても構わない。喜びや怒りや悲しみでもなんでもその人の感情を引き出せたら成功だと思うんです。
お仕事は変化しても、「誰かのためになることをしたい」という想いをずっと持ち続けて来られた桃子さん。インタビュー中も、桃子さんは読み手のことを本当に考えて文章を書いているんだ、ということが言葉の端々から伝わってきました。読み手へのやさしさが、桃子さんの記事が多くの人に愛される最大の理由なのかもしれませんね。桃子さん、ありがとうございました。