受講生インタビューVol.10 大澤美恵さん

受講生インタビューVol.10 大澤美恵さん

プロライター養成塾で教わったことは、
ライターとしてのマインドセットと覚悟。

法律系ライター
大澤美恵さん

大学の法学部を卒業後、貿易事務、営業事務、購買事務などを経て、2016年2月にフリーライターとして独立された大澤さん。「徹底的に品質にこだわる法律系ライター」として、今までに執筆した記事は法律・ビジネス関係1,000本以上。そんな大澤さんに、プロライター養成講座を受講したきっかけやお仕事に対する思いを語っていただきました。

Facebook:https://www.facebook.com/mie.osawa

 

これまで物流会社や商社などで経験を積まれてきた大澤さんですが、なぜライターとして独立されたのでしょうか?

時代は2008年のリーマンショックまで遡ります。当時、私は派遣社員として貿易事務の仕事をしていたのですが、派遣先が不況のあおりを受けて業績が低迷。同じ部署で働いていた派遣社員が契約を切られていくのを目の当たりにしました。幸いなことに、私は雇い止めを免れることができたのですが、状況次第では派遣切りの対象になっていた可能性も十分にありました。そういう危機に直面したことで、「会社に雇われている状態って、実はすごく危険なんじゃないか」と思うようになったのです。そこから、雇われずに働ける方法を模索し始めました。

「仕事に直結するプロライター養成講座」のことはどこで知ったのですか?
講師である橋本絢子さんのFacebookで知りました。自分の適性を知るにあたり、仕事をしながら資格の勉強をしたり、起業セミナーに参加したりしました。女性起業家さんのFacebookもたくさんフォローしていく中で、2015年10月頃、たまたま絢子さんがプロライター養成講座を開催されていること、次は12月に東京で講座が開催されることを知りました。もともと学生時代に毎日ブログを書いていたこともあり、文章を書くことには抵抗がなかったので、「おもしろそう。これならできるかも」と感じたんです。

仕事の繁忙期に受講のために3日間も休暇を取るのは、とても勇気がいりました。しかし、受講を迷っていた私の背中をメンターが押してくれたこともあり、参加を決断したのです。絢子さんの存在を知ってから2ヶ月で講座を受け、さらにその2ヶ月後には本格的にフリーライターとしての道を歩み始めました。

受講してみてどうでしたか?新たな気付きや変化はありましたか?
講座では営業方法やライティングのメソッドなどももちろん学びますが、私がいちばん絢子さんから学んだことは、フリーライターとしてやっていくためのマインドセット覚悟でした。受講前にはまだ独立に対する迷いが払しょくしきれてはいなかったのですが、講座が終わった後には不思議と「ライターの仕事で食べていこう」と決断することができました。

独立を考える時は、「まずは副業で小さく始めて、副業の収入が本業の収入を上回る頃に独立する、というステップを踏むのが良い」という話も聞きます。しかし、私は平日の夜間や土日に副業の時間を確保することがどうしても難しかったので、最初からその選択肢はありませんでした。たとえうまくいかなかったとしてもまだやり直しのきく年齢だったこと、夫も働いていて定期的な収入があったので「失敗しても最低限死ぬことはない」と思ったこともあり、「やるなら今しかない」と勢いだけで独立しました。

大澤さんはバリバリのキャリアウーマンという印象ですが、実は一児のお母さんだそうですね。仕事と育児の両立は大変じゃないですか?
私は基本的にワーカホリックなので、そもそもあまり両立しようとはしていません。子どもが家にいるときでも隙あらばパソコンを開いたり、資料を読んだりしています。私は以前から「最低限の衣食住の確保さえできていれば、子どもは勝手に育つものだ」というポリシーを持っているため、子育てに特別熱心なほうではないんです。そんな私のもとで育てられている娘ですが、保育園の先生や習い事の先生のあたたかいご指導もあり、今のところは素直でいい子に育ってくれているのでありがたいなと思います。

とはいえ、娘が体調不良になると、どうしてもつきっきりでケアをせざるを得なくなります。私が常日頃から心掛けているのは、スケジュールは早め早めに設定するということです。うちの子は幸いあまり熱を出したりしないほうなのですが、子育てはいつ何が起きるかわからないので、危機管理はきちんと行うようにしています。実は、独立してから3年間、原稿の納期を守れなかったことは一度たりともありません。取材も70~80件くらいこなしているかと思いますが、「取材予定を変更してほしい」と頼んだことも全くないんです。

養成塾でも学んだことですが、「(納期などの)約束は絶対」です。特に取材の場合、ひとつの案件に、取材相手をはじめ編集者もしくはWEB制作会社の営業担当、カメラマンなど、さまざまな方が関わっています。なので、私ひとりの都合で予定を変えるわけにはいきません。できる限り仕事に支障をきたさないよう、夫に協力を求めるのはもちろん、子育てシェア(利用者同士で子どもの預け合いができるオンラインサービス)を利用したり、万一のときに備えて病児保育室や病児OKのベビーシッターサービスに登録したりするなど、頼りどころを複数確保しています。

大澤さんは、本当に仕事がお好きなんですね。
そうですね。でも、もともとはどちらかというと、ワーク・ライフ・バランスを大事にしたいほうだったんですよ。でも、子どもができてから最初に社会復帰をしたとき、どんなにやるべきことが残っていても17時で「もう(帰って)いいよ」と言われるのが本当にイヤでした。その会社は子育てにとても理解のある会社だったので、周りも気を遣ってくれていたのでしょう。しかし、「もういいよ」と言われることで、なんだか自分の能力にフタをされてしまっているように感じてしまって。それもあって、時間と場所にとらわれず、フルに自分の能力を活かせる働き方をしたいと思ったんです。

フリーランスになってから、いつの間にかオンとオフの境目がわからないくらい、仕事をするようになりました。パソコンに向かって執筆作業するだけじゃなく、資料を読んだり、休日に仕事で使える本を探しに図書館や本屋さんに行ったりもします。なので、どこからどこまでが仕事なのか、自分でもよくわからなくなっていますが、今ではそれを当然のように受け止めています。

法律系ライターとしての大澤さんの強みは何でしょうか?
弁護士などの専門家の方に代わって、わかりやすく文章で伝えることができるのが私の強みかなと思います。法律家の方が自ら情報発信をすることはとても大切なことだと思いますが、法律家の本来のお仕事は、法律相談に応じたり、依頼人の相手方と交渉や裁判をすること。なので、法律家の方々には、ぜひ本業に力を入れていただいて、執筆や情報発信の部分についてはぜひ私がお手伝いしたいと思っています。

依頼をされたクライアントからは、クオリティやスピードについて高い評価をいただいています。中には、リーガルチェックをしていただいた弁護士さんから「大澤に書いてほしい」とご指名をいただくこともあります。そのように専門家の方に頼りにしていただけるのはとても光栄なことですし、より一層クオリティの高いものをご提供しようと思いますね。

今後はどんなことに挑戦していきたいとお考えですか?
今後は、法律だけでなくビジネスの分野にも目を向けて、自分の守備範囲を拡げていきたいと思っています。具体的には、企業経営や最近興味を持っているM&A・事業承継に関する分野に挑戦したいです。法律系でも、わりと自分の中では書き尽くした感はあるものの、会社法の分野ではまだ知らないことがたくさんあるので、知識を深めるためにも積極的に案件を受けていきたいと思っています。

また、取材の経験も決して多いほうであるとは言えないので、これから増やしていきたいですね。特に興味があるのが、経営者の方への取材。経営者の方は人の上に立っていらっしゃるので、見える世界も他の人とはきっと異なっているのではないかと予想しています。経営者の方が日頃から何を考え、どのように行動をしているのかを伺って勉強させていただきたいし、それを記事にすることでみなさまにも広く知ってほしいですね。

最後に、大澤さんのようなライターになりたいと思っている方に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。
子育てをしながらライターのお仕事をする場合、何かあった時に備えて家族や周りのサポート体制を整え、リスクヘッジをしておくことが何よりも大切だと思います。「子どもが熱を出したから納期通りにできなかった」と言って許してくださるクライアントもおられるかもしれません。しかし、本来、こちら側の私情はクライアントには一切関係のないことです。身内の不幸など、よほどのことがない限り約束は絶対に守る。そういう覚悟を持ってお仕事をすることで、クライアントからの信頼も高まりますし、収入も後からついてきます。

あと、目の前に今までしたことのない仕事が来たら、積極的にチャレンジしてください。子どもがいるからとチャレンジをしないままでは、いつまでたってもスキルは上がらないし、経験値も増えません。未知の分野への挑戦は、誰しも尻込みしてしまうものですが、そこを乗り越えればライターとしてひと回りもふた回りも成長します。

仕事に直結するプロライター養成塾は少人数で行うため、ライティングの基本的知識から個々人に合った営業方法まで丁寧に教えていただけます。また、養成講座の卒業生には人間的にとても魅力的で尊敬できる方がいらっしゃいますし、受講生同士のつながりもできて、ライターになってからもお互いに情報交換したり学び合ったりすることもできるので、勉強になることがたくさんあります。興味があれば一度受講してみてくださいね。

 

編集後記

今回の取材を通して、一貫した回答をしてくださった大澤さん。女性として、人として、芯の強さを感じられる方でした。

また、相手を尊重する姿勢も徹底されており、「相手からいただく時間は“仕事の時間”であり、“命の時間”でもあるので、取材の開始・終了予定をきちんと相手に伝えて、時間内に終われるようにしてください」という言葉が印象に残っています。これからライターになろうと思っている方も、現役ライターの方も、参考になる部分が多かったのではないでしょうか。

大澤さんのこれからのますますのご活躍がとても楽しみです。

(インタビュアー 竹田扶美可)