受講生インタビューVol.6 たかはしなつこさん

受講生インタビューVol.6 たかはしなつこさん

女性が100%仕事に集中できる期間は限られている。だから今できることを、できるうちに100%やろうと思いました。

 

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企業・グルメ情報誌ライター
たかはしなつこさん

東京都在住。新卒から銀行の営業職として、バリバリ働いていたたかはしさん。仕事は充実していて面白かったが、ライフステージの変化によって、柔軟に自分らしい働き方を選択していきたいと思い、結婚を機に会社を退職されたそう。現在は、企業のホームページでコラム執筆、グルメ情報ページの取材・ライティングを行うほか、趣味で続けているカリグラフィーの作成依頼も受けるようになり、自分のペースで楽しく仕事をしていらっしゃいます。ライターとしてキャリアを積み始めたばかりのたかはしさんですが、ライターの仕事に行き着くまでの経緯、女性としての仕事観についてお伺いしました。

(インタビュアー 朝田えみり)

ブログ:http://ameblo.jp/summer-tmngtkhs/

 

以前はどんなお仕事をされていましたか?

新卒でメガバンクに入行し、法人融資や個人資産運用、新規店舗立ち上げに携わっていました。仕事はやりがいがあり、充実していましたが、朝7時に家を出たら21時か22時に帰宅する毎日で、週の後半は意識が朦朧とすることもありました(笑)。 金曜日になるとちょっと元気になるんですよね、土曜日がようやくお休みになるので。あまり体力がある方ではなく、土日休みでも土曜日はほぼ一日寝ていたので、自由にできるのは実質日曜日だけでした。

ご結婚を機に会社を辞められていますが、それはライターの仕事をしようと考えて?

いいえ、そういうわけではありませんでした。 25歳から仕事をやめるまでの4年間、部署異動などの仕事の配分が大きかったんです。部署が違うと上司も違ってきます。上司が違えば、仕事の進め方や休暇の取り方なども大幅に違ってきます。仕事も責任の重いハードな部署で、まさに心身のバランスを崩しかけていました。そんな中、「女性が働く」ということについてよく考えるようになったんです。

体力面を考えても、将来子供ができることを考えても、自分はこの会社に定年までいることはできない、と感じました。ならば、結婚を機会に一度リセットして、これからのことをよく考える余裕が欲しいと思いました。

子供ができたことで、退職する女性は相当数いる中、結婚しただけで、新居も相変わらず東京なのに、会社をやめる決断に周囲には驚かれました。 しかし、夫は私と違って土日休みの仕事ではありません。せっかく結婚したのに、銀行に勤めたままでは夫とすれ違いの生活になってしまうと思いました。 それで退職の決断をするに至ったのですが、夫も私の考えを尊重してくれました。

 

7年間も続けてきた銀行を退職するというのは大きな決断ですよね? キャリアがもったいないとは感じなかったんですか?

銀行の仕事については、もうやりきったな、と思って満足していたんです。
私が25、6歳の時でした。仕事では大変で辛いことがたくさんありました。私は一体どこに向かっているのか? そんな漠然とした不安が生まれていた時に、ある雑誌の記事が目にとまりました。モデルの蛯原友里さんの双子の妹、蛯原恵里さんのインタビュー記事です。その中で私に鮮やかに刺さった言葉があります。

「女性が100%仕事に集中できる期間は限られている」

男性とまったく同じように、男性と肩を並べて対等に、ではなく 結婚、出産、育児、介護などを経験していく人生を送るならば、仕事に今の自分のすべてを捧げてやれる時期は限られている、と。 蛯原恵里さんは看護師としてご活躍され、その後ファッション業界に転身 現在はベビーマッサージのお仕事などをされていて 2014年9月に第一子の女の子を出産されています。

両立=100%ではない、ということ。

“100%”仕事に向かうということは、必要ならば仕事以外のものを気持ちよく犠牲にできるスタンスのことだと思います。 自分自身はもちろん、家族も友達も恋人も。例えば、仕事を優先するために、デートが急にキャンセルになってしまったり、家族や友人と一緒に過ごす時間が全然なくなってしまったり。

もし自分に子供ができたり、介護の問題が出てきたりしたら、100%の仕事への全力投球、という生活は無理だと思います。だから私は、あの記事を読んで決めたんです。今できることを、目の前にあることを、100%やれるうちはやろう、と。それができなくなったときに、後悔しないように。

仕事をしていて、身体的にちょっと病院にかかったりもしましたが、そういう時期も経験しないと、自分はきっと後悔すると思い、全力でやり抜きました。成果は出すことができ、昇格、昇給もできました。退職の意思を上司に伝える時「仕事についてはもう満足しているんです」と話すと、それを聞いて納得していた様子でした。

なので、銀行での経験や出会いには感謝の気持ちでいっぱいですし、私の人生において、間違いなく最も大きな核のひとつになっていますが、退職したことは全く後悔していません。あまり悩むことなくサラっとやめることができました。

 

なぜそれでライターをやろう、と決めるに至ったのですか?

主に、二点ありますね。第一に、ライターという仕事は、経験してきた全ての人生が活かせる仕事です。すごく深いことが書かれているコラムなどの記事を読むと、著者の蓄積してきたものが凝縮されて滲み出ていて感動します。自分も仕事とプライベートの境なく成長して、文章に活かしていきたいと思ったんです。 第二に、次に私のライフステージが変化するときは、子どもができた時かと思います。もしもその時どこかの組織に属していると、産休・育休、もしくは退職をすることになりますが、変化し続ける自分の生活に合わず、キャリアがブツブツ途切れてしまうのは嫌だと思いました。

一生のうち、ライフステージによって変わっていく自分に合ったかたちで仕事をしていきたかったんです。

会社に属していると、どうしてもその会社の都合を受け入れなくてはいけませんよね? 当たり前ですが、勤務時間中は会社内に拘束されますし、通勤も当然ありますし、配分される仕事量もそうです。その点、フリーランスのライターは自分で仕事を受けるか受けないか、決めることができます。また、基本的に在宅の仕事ですから、家事も仕事の合間にしやすいですし、子供ができたら、ちゃんと子供と向き合う時間も取りやすいと思います。このように、フリーランスライターという仕事には、安定してお給料を出してくれる会社がないかわりに、自分のライフスタイルに合った形で仕事をしていくことができる、という柔軟さがあります。 私にはこの柔軟さが魅力でした。

 

プロライター養成塾はなぜ受講しようと思われたんですか?

代表の橋本絢子さんの講座への想いを読みました。とっても共感出来る部分が多かったです。また、「真の意味で女性が自分や家族を大切にするとは?」という考え方が、当時の私のモヤモヤしていたことにストレートに響いたんです。それと、60ページ以上に渡る「ライターの文章術」というPDFも読ませて頂いて、もっとお話を聞きたい、と感じました。
そして何よりも、当時、養成塾のコースが開催される日程が迫っていたんです。その時を逃してしまったら、あと何ヶ月か待たないといけませんでした。ちょうどいい時期で、ご縁を感じたので受講することをすぐに決めたんです。

 

実際受講してみていかがでしたか?

橋本さんは基本をとても大切にしていらっしゃる方でした。社会人としても、ライターとしても、コミュニケーションにおいても。基本を大切にする、というのは当たり前のことではありますが、意外とおざなりにしていたりしませんか?ライターとしての基本を大切にし、仕事をどう取っていくか?次に繋げていくか?を具体的に学ばせて頂きました。

自己肯定感についても学ばせて頂きました。精神的なことって仕事をしていく上で、すごく大事です。
また、座学だけではなく、体験で学ばせてくれたのもとても有り難かったです。

授業で講義をしてそれでおしまい、ではなく、受講中に仕事を頂けたんです。即日仕事が決まるとは思っていなかったので、驚きましたね。納品までの一連の流れを実際にさせて頂けたので、体得型の私はプロライター養成塾を受講してよかったと思いました。

 

ご家族の理解や家事と仕事のバランスについてはいかがですか?

夫は応援してくれています。夫が家を出てから帰宅するまでの時間で仕事をしているので、おそらく私から報告しないと、今私がライターをしているとは分からないと思います。
夫が休みの日は、あまり仕事をしないようにしていて、こんなふうに家族と休みの日を合わせることができるのも、フリーランスのいいところですよね。

〆切が集中してしまった時は、フルタイムで働いているのと変わらないような感じで忙しくなりますが、仕事の合間を見て家事をしていて、仕事も家事もスキルアップしています。

 

今後はどのように仕事をされていきますか?

家庭を大切にしながら、ライターの仕事と両立させていきたいですね。
最近は趣味で続けていたカリグラフィーの依頼も頂いてるんです。
カリグラフィーというのは西洋の書道のようなもので、イタリアンやフレンチの看板やメニュー、ウェディングのペーパーアイテムなどでよく見られるものです。ついこないだは銀座で展示会もありました。 心を落ち着かせて集中して作品をつくっていく時間は私にとって内省の時間です。

また、銀行員時代と違って、身体を動かしたり友人と会う時間をつくったり、日々の食事を楽しんだりしています。食べ物に対する意識も変わって、家で使う調味料などに気を遣うようになりました。ライターを続けながら、これまでの経験やスキルを活かして、色々な仕事をしていきたいですね。 現在、私は仕事よりも
家庭を大切にしていますが、今、目の前にあること、今できることに集中して取り組むスタンスに変わりはありません。 人生のどのステージに居ても期間限定で打ち込むことを持ちたいです。

そういう人生の時間の使い方をしたい。強くそう思います。

 

これからプロライター養成塾を受講される方へのメッセージをお願いします。

養成塾は初心者の方からベテランの方まで、どんな方が受けても必ず何かしらの気づきがあると思います。私も受講しなかったら出会えなかった方々もいるし、仕事の経験もできませんでした。 受講生同士のつながりもあり、仕事のチャンスは自分次第で広げていけます。私も自分から営業していくことで新しい仕事を頂き、継続して受注しています。受講したことを最大限に生かし、お仕事につなげていってくださいね。

 

 

編集後記

落ち着いた物腰で、自分の仕事に対する考えをしっかりと語ってくださったたかはしなつこさん。養成塾で座学をした後は、受注した仕事のやり方を聞くために事務所の方にわざわざ出向くなどとても積極的に行動されていました。

その積極性がすでに結果に結びつき、たかはしさんはすでに有名な企業のコラムなども執筆されています。「自分のコラムが載って、知らない人がコメントしてくれてるのがとても嬉しい」と楽しそうに話されていたのが印象的でした。

自分の進む道は自分で決めたいと思っても、なかなか思い通りにいく人ばかりではありません。お金の算段も含め、組織に属していればなおさらです。年をとるにつれて、守らなければいけないものが増え、無限に思えた人生の選択肢が狭まっていくことに気がつきます。

私は四捨五入して30歳になります。仕事に全力投球できるのは体力面を考えると、あと二十数年といったところでしょうか。もうすでに人生の折り返し地点と言ってもいいところに来ているとは我ながら感慨深いです。自分はこれからどんな人と出会い、どんな仕事をして何を残していけるのか。ふとそんなことを考えます。

皆様はこれからどのように人生を使いますか?どのような選択をくだすでしょうか? たかはしさんはご自身のブログでこんなことを書かれています。 「人生は取捨選択の繰り返し。変化し続ける中で、変わりたいもの、変わりたくないものを大切に見極めて、自分に正直にいきたいと思っています」

人はそれまでの人生で選択したことの総体です。 皆さんがどのような選択をするにせよ、一度きりの人生、充実した時を過ごして参りたいですね。(インタビュアー:朝田えみり)

 

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「経営者交流会やランチ会などのイベントにも積極的に参加し仕事の人脈作りにも日々、力を注いでいます。」

 

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カリグラフィーの展示会に自身の作品を出品したときのひとコマ。「私にとって カリグラフィーの時間は内省の時間でもあります」と語るなつこさん。